海津市議会 令和7年 第3回定例会 一般質問 寺村典久議員

海津市

概要

海津市の令和7年第3回定例会の一般質問において、寺村典久議員は「多文化共生社会の実現」および「観光地周辺における路上喫煙の防止と観光誘客の取組」の2点について質問した。

多文化共生社会の実現については、在留外国人数が令和7年には1,314人に達し、市の総人口に占める外国人比率が4.2%に達している実態が明らかになった。地域経済を担う外国籍市民の受け入れと治安維持の両立をいかにして現実に着地させるかが、改めて問われる形となった。今後は年度内の計画策定を軸に、多言語対応や事業者支援を具体化させていく考えを市は述べた。

観光誘客の取組については、千代保稲荷神社参道の路上喫煙対策を中心に、喫煙所の増設やトイレの改修など観光インフラの整備についても議論された。

質問と回答

質問1

多文化共生推進計画の策定状況が知りたい。

回答: 現在、多文化共生推進計画の策定に取り組んでいる。これまでに多文化共生推進協議会を2回開催し、活動報告およびアンケート調査の内容について意見交換を行った。今後は事業者へのヒアリング調査を実施し、その結果をもとに現状分析と課題整理を行う。年内に骨子案を作成し、パブリックコメントを経て年度内に計画を策定する予定である。

質問2

多文化共生推進計画の柱として取り組むべき重点課題に対する現状認識が知りたい。

回答: 4つの視点を重視する方針である。1つ目は「お互いの文化や価値観を尊重し、支え合うことのできる社会づくり」、2つ目は「国際力を育む教育環境の整備」、3つ目は「外国籍の市民が生き生きと活躍できる社会づくり」、4つ目は「安全・安心な地域社会づくり」である。

質問3

外国人労働者を雇用する事業者への対応はどのように考えているか。

回答: 令和9年度の育成就労制度の開始を踏まえ、雇用事業者に求められる日本語教育・生活支援の充実、労働条件や雇用契約の透明性確保、職場環境の整備などについて、国や県と連携しながら事業者に対する必要な支援を行っていく。

質問4

日本語を母国語としない児童・生徒への支援策が知りたい。

回答: 市内の外国籍の子どもは、認定こども園が25名、小学校が26名、中学校が14名である。小・中学校の外国籍児童40名のうち日本語の個別指導が必要な児童・生徒は20名で、ポルトガル語・タガログ語・中国語に対応できる指導員を週1回半日派遣し、学校生活への適応支援や保護者との懇談の通訳を担っている。また、日本語指導教員が週5時間、日本語の指導および学校生活への適応のための個別指導を行っている。さらに昨年度10月からはオンライン日本語初期指導講座を活用し、転入後の約1か月間、週5日・1日3時間程度のマンツーマン指導も行っている。今年度はポケトークを昨年より11台増やして23台とした。

質問5

就学年齢に達した外国籍の子どもが学校に通えるよう促すためにどのような取組をしているか。

回答: 小学校への入学時期を迎えた全ての外国籍の児童に対して、就学時の健康診断など入学準備について確実に案内している。また、学齢期の途中で転入してきた外国籍の児童・生徒については、住民となる手続きの際に学校生活の様子や準備するものを確実に伝えるようにしている。

質問6

日本語の就学案内では伝わらないと思うが、多言語での案内や直接訪問などの対応はしているか。

回答: 現時点では日本語の文書を郵送しているが、保護者から教育委員会や学校に相談に来た際は、ポケトークや学校に派遣される通訳員を介して情報を伝えるようにしている。

質問7

窓口での多言語対応として、職員が基本的な挨拶程度を外国語でできるような教育はしているか。

回答: 現時点では窓口での緊急的な困りごとは多くないが、令和4年ごろから外国籍市民が急激に増加しており、多言語対応の強化は必要な課題と考えている。今後は計画策定の中で具体的な方策を検討していく。

質問8

外国籍の労働者に選ばれる事業所をつくるために自費で日本語教室を開いている事業所があるが、市はこうした取組をどのように支援していくか。

回答: 現時点では具体的な取組はない。今後、計画を策定する中で国や県と連携しながら事業所の活動をサポートする仕組みについて検討していく。

質問9

千代保稲荷神社参道では路上喫煙やポイ捨てなどのマナー悪化が目立ち、マナーアップ大作戦を続けているが大きな改善につながっていない。他の多くの自治体では路上喫煙防止条例を制定しているが、本市での制定についてどのように考えているか。

回答: 路上喫煙防止条例については、その必要性と実効性について調査していく。これまでのバリケードや啓発看板の設置により脇道での路上喫煙やポイ捨てが減少するなど一定の効果が得られており、今後はこれをより効果的に実施するとともに、SNSを活用した情報発信を積極的に行い、路上喫煙の根絶に向けたさらなる取組を進めていく。

質問10

観光資源をブラッシュアップさせるための環境改善の取組はどのように考えているか。

回答: トイレや休憩スペースなどの周辺施設の整備は、観光地の安全性・利便性の向上だけでなく観光地の価値を高めることにつながると認識している。今後、周辺住民の意見を踏まえ、周辺施設の整備や改修に計画的に取り組んでいく。

質問11

議員は、路上喫煙対策として新条例を制定するよりも既存の「海津市ポイ捨て等防止条例」を市民や観光客に周知することが現実的だと考えているが、市はこの条例をどのように認識しているか。

回答: 同条例は、市民や来訪者、事業者がマナーを守り、協力して清潔なまちづくりを推進することを目的に制定された条例であると認識している。指導・助言・勧告・命令を行うことができるが、現状は強制的な措置よりも、マナーアップ大作戦や看板設置などの啓発活動を重視したいと考えている。

質問12

千代保稲荷神社参道の中間に喫煙所がないため、脇道で喫煙している人が見受けられる。路上喫煙のマナー改善を図る現実的な手段として、参道の中間への喫煙所の増設を考えているか。

回答: 現状、参道沿いに喫煙所を新たに設けることは困難であると認識しているが、今後、周辺住民や関係機関の意見を聞きながら対応していきたい。

質問13

千代保稲荷神社参道の中間にあるトイレは和式であり、木曽三川公園千本松原のトイレは女性が敬遠している。観光地としての魅力向上のため、これらのトイレを改修する考えはあるか。

回答: 今後、トイレの改修については計画的に実施していく。

感想

義務のない教育が招く社会の分断をどう防ぐか

外国籍の保護者には、日本国憲法が定める「子どもに教育を受けさせる義務」が法律上適用されないという事実を初めて知った。

子どもたちが教育からこぼれ落ちることは、将来的な社会の分断や損失に直結する。教育機会の欠如が家族の問題として片付けられ、他者が介入しにくい現状は、法制度の不備が招いた深刻な課題と言わざるを得ない。

政府は人手不足を補うために外国人労働者の受け入れを加速させているが、その足元で教育義務の適用範囲や社会保障の整合性といった根本的な法整備が追いついていない。受け入れの拡大と制度設計が噛み合わないまま進めば、その歪みを最初に引き受けるのは地域社会だと不安を覚えた。

国内の生産年齢人口が減少する中で、外国人の受け入れについては社会の安定性の観点から慎重な議論が必要であるが、海津市においても令和6年に生まれた赤ちゃんの約6人に1人が外国籍であるという現実に目を向ければ、これはもはや将来の予測ではなく、今ここにある地続きの課題だと改めて認識した。

現実的な軸で語る多文化共生

外国人との共生は感情的な対立が起こりやすいテーマであるが、寺村典久議員が「人材不足の解消」と「治安維持」という現実的な軸で議論を組み立てていた点は高く評価したい。

理想論や感情論に終始するのではなく、現実的な観点から問いを立てることで、議論は建設的な方向に向かう。今回の質疑は、その好例と言える。

単純計算として、不足する生産年齢人口を外国人労働者ですべて補うには、数千万人規模の受け入れが必要になる。そうすれば経済の規模こそ維持できるかもしれないが、日本社会のあり方は激変する。どのような社会を後世に引き継ぐのか。これは政府が決めることではなく、私たち自身が冷静に向き合うべき課題だ。

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