概要
海津市の令和7年第3回定例会の一般質問において、六鹿正規議員は「道の駅を核とした地域活性化」「基金運用と債券購入」「物価高騰対策」の3点について質問した。
道の駅については、クレール平田と月見の里南濃のいずれも市が一般会計から赤字を補填している厳しい経営状況が浮き彫りになった。市はその対策として、クレール平田に民間の経営ノウハウを導入する「指定管理者制度」を令和10年度から採用し、経営改善を図る方針を示した。月見の里南濃については、指定管理者制度に限らず幅広い民間活力の導入を検討するとした。
物価高騰対策では、市長に直接の答弁を求めた六鹿正規議員と、部長に答弁を代理させた市長との間で議場が緊迫した。「執行権を持つ市長が答えるべきだ」と詰め寄る議員に対し、市長は「部長の答弁は私の指示に基づくものであり、私自身の考えと同じだ」と応じ、責任の在り方を巡って見解をぶつけ合う展開となった。
質問と回答
質問1
道の駅を核にどんな地域活性化を進めていくのか。
回答: 「クレール平田」では、隣接する「平田リバーサイドプラザ」と連携して幅広い来訪者が一日を通じて楽しめるエリアづくりを進める。加えて、「クレール平田」を起点に市内を周遊できるよう受入体制の整備を図ることで、サイクリングを通じた誘客や地域のにぎわい創出を目指す。また、令和8年4月から「平田リバーサイドプラザ」の次期指定管理者を公募中であり、新たな指定管理者によるイベントの充実が期待される。「月見の里南濃」では、「月見の森」エリア全体の魅力を高めるブランディング戦略の策定に取り組んでいる。加えて、令和8年4月に海津市観光協会の事務所を「月見の里南濃」に移転することで、観光案内所機能の強化が期待できる。
質問2
道の駅はどこが運営しているか。今後、指定管理者に委託する考えはあるか。
回答: いずれも市の直営で運営している。クレール平田は、令和10年度の指定管理者制度の導入を目指す。月見の里南濃は、指定管理者制度に限らず幅広い民間活力の導入を検討する。
質問3
「南濃温泉 水晶の湯」では食事が提供されていないのは本当か。
回答: コロナ禍以降の利用者の減少でレストランの採算が取れず、令和5年10月からレストランを休止している。その代替として弁当・総菜パンの販売、土日にはキッチンカーの出店が行なわれている。今後、利用者需要の動向を注視しながらレストラン再開を含め検討する。
質問4
道の駅「クレール平田」の指定管理者選定にあたり、事業者の地域への思い入れや計画を評価する考えはあるか。
回答: 市の思い・方針を示した上で応募を受け付け、本市の提案に合った提案をした事業者を選定する形になる。
質問5
市は「クレール平田」が位置する地域にどんな思いを持っているのか。
回答: 道の駅それぞれの特徴に合わせ、地域の皆様と協議を重ねながら今後の方向性を固めて募集していく。
質問6
道の駅「クレール平田」の指定管理の対象には農産物直売所も含まれるか。
回答: 直売所も含めた形で指定管理として出す考えである。
質問7
道の駅「クレール平田」を指定管理に移行した後も、小規模農家は変わらず出荷できるか。
回答: 地元農産物を出荷している方々がそのまま出荷できるような条件で募集をかけたい。施設全体の方針・公共性の確保については市が担う。
質問8
道の駅「クレール平田」を指定管理に移行するのはなぜか。
回答: 現在、一般会計からの繰入れを受けながら営業しており、経営的に限界に近づいている。民間の力を借りて黒字化を目指すとともに、今後の大規模改修にも対応したいと考えている。
質問9
今年度、道の駅「月見の里南濃」でイベントが少なかった理由は何か。
回答: 市の支援が十分でなかったことに加え、関係団体との調整が進まなかったため運営委員会が開催されず、5月・7月のイベントが実施できなかった。市として責任を真摯に受け止めている。今後は市が主体的に調整して継続開催に取り組む。
質問10
公金管理運用委員会の設置時に金融の専門家を入れるという案はなかったのか。
回答: 委員会設置は平成19年で、経緯は不明である。他市町でも専門家を委員に入れている事例が見当たらなかったため検討されなかったと推察する。現在、金融機関関係者を委員として任命する調整を進めている。
質問11
今回の債券購入は地方自治法第241条に違反していないか。
回答: 地方財政法の規定による確実な方法(銀行預金・国債・地方債等)での運用に該当し、違反していない。
質問12
現在の債券には含み損があると聞くが、今後も計画に沿って債券を購入するつもりか。
回答: 金融機関関係者を委員として公金管理運用委員会に加えた後、同委員会で諮りながら進める。
質問13
第2回定例会で市長が「検討していく」と発言した商品券配付等の物価高騰対策はどうなったか。
回答: 全市民への支援と生活困窮者への的確な支援の両面から検討している。国の今後の支援策の動向を注視しながら効果的な支援策の充実に取り組む。
質問14
物価高騰対策について改めて市長本人に答弁を求める。
回答: 答弁は私(市長)の指示に基づいて部長が書いたものであり、部長の答弁は私(市長)の答弁と同じである。
感想
市長への直接答弁を求める場面
今回の質疑では、市長と議員の間で火花を散らすような緊張感のあるやり取りが見られた。
過去の質問の進捗を厳しく確認し、市政を正すことは議会の大切な役割の一つである。しかし、今回の物価高騰対策に関する再質問において、市長に直接の答弁を強く求めた場面には疑問を感じた。
市長から方針を直接聞きたいという意図は理解できるが、「ない袖は振れない」財政状況の中で、具体的な対案の提示もなく、わずか3ヶ月という短期間で市長の決断のみを迫る姿は、無責任な印象を受けた。
文句を言うだけであれば、誰でもできる。政治に求められているのは、単なる責任の追及ではない。限られた財源の中で何を優先し、何を諦めるかという、痛みを伴う建設的な議論であるはずだ。
現実に対して「解決への道筋」を共に描く姿勢こそが、行政と議会の双方に求められていると思う。

