海津市議会 令和7年 第3回定例会 一般質問 片野治樹議員

海津市

概要

海津市の令和7年第3回定例会の一般質問において、片野治樹議員は「防災DXと協働支援の推進」について質問した。

片野治樹議員は、消防団での現場経験と他自治体の事例を踏まえながら、防災DXの現状と被災者援護協力団体制度を活用したNPO等との連携体制を確認した上で、消防団活動支援システムの導入など未着手の分野へのDX推進を求めた。

答弁では、能登半島地震の教訓を踏まえ、トイレ確保・耐震シェルター補助・罹災証明発行のシステム化など、具体的な備えが着実に進んでいることが示された。

一方で、職員だけでは避難所運営をまかないきれないことも明らかになっており、市民自身が避難所を運営できる力を平時から養うことが求められている。

質問と回答

質問1

市の情報伝達手段はどのようなものがあるか。また、備蓄品の管理や家屋の被害調査等でのDX推進についてどう考えるか。

回答: 災害時の情報提供には、防災行政無線、市ホームページ、防災ウェブアプリ、メール配信サービスを活用している。令和5年度には、県内で初めてクラウド型被災者支援システムを導入した。これにより個別避難計画の作成、避難所の入退所管理、支援物資の把握、罹災証明の発行、被災者支援金の支給など、平時から発災時、応急期、復旧期までの全フェーズにわたる被災者支援の効率化につながると考えている。

質問2

クラウド型被災者支援システムを使用できる職員は何人か。また、避難所への職員配備計画と同システムを活用した訓練計画が知りたい。

回答: 現在、同システムを用いて避難所の入退所管理が可能な職員は約80名いる。避難所への職員配備計画については、災害が発生した際に直ちに職員を派遣し、交代で運営する方針にしている。訓練については、今年度、小学校3校で市民との協働による避難訓練を実施予定で、クラウド型被災者支援システムを活用した避難所開設訓練も組み合わせる。

質問3

災害協定先団体と定期的な情報交換は行っているか。また被災自治体の経験から防災・減災対策の強化に向けてどのような取り組みを行っているか。

回答: 毎年度、74件の協定先について担当者・連絡先を確認し、一部の協定先とは定期的に情報交換している。防災・減災対策の強化については、被災地での活動経験に基づいて、消防装備の充実、要配慮者対応の改善、トイレ確保計画の策定、簡易トイレの備蓄、トイレカー2台の導入、耐震シェルターの導入助成、スコップ・消毒液等の資機材備蓄の充実を進めている。

質問4

被災者援護協力団体(NPO・ボランティア団体)として登録した団体と連携して行える被災者支援はどのようなものがあるか。

回答: 登録団体が行う支援として、避難所運営支援、炊き出し、被災家屋の片づけ、被災者の相談対応などを想定している。

質問5

消防団員への情報共有や団員報酬の管理はどのように行っているか。消防団活動支援システムの導入には国の交付金措置があり、職員・団員の事務負担軽減につながると考えるが、導入を検討するか。

回答: 災害発生時や訓練時における消防団員への情報共有はメーリングリストを使用し、消防団員の活動報告や報酬の管理については管理ソフトを使用している。消防団活動支援システムについては、先行自治体の実績や運用状況を調査した上で検討する。

質問6

8月31日の岐阜県総合防災訓練はどのような想定の訓練だったか。また、参加した感想があれば知りたい。

回答: 同訓練は、8月30日午前7時に揖斐川・武儀川断層帯の内陸直下型地震(震度6強)が発生し、堤防の一部が崩壊するほか羽根谷砂防堰堤で土砂が堆積するなどの被害が発生した後、大雨被害が西濃・中濃を中心に発生したという想定で実施された。訓練内容は物資の支援要請、医師や応急危険度判定士の県への派遣要請、ペット同伴での避難に関する問合せ対応だった。参加した感想としては、避難所の運営だけでなく、本部の運営においても多岐にわたる対応が求められると改めて痛感した。

質問7

本市が能登半島地震のように元旦に被災した場合、市職員は何割・何人が登庁できると想定しているか。

回答: 能登半島地震では発災3時間以内に4割(41%)が登庁しており、同様の状況であれば本市では約130名が登庁可能と想定している。

質問8

市内全ての避難所を開設した場合、何名の職員が必要か。

回答: 指定避難所24か所で42名、福祉避難所11か所で14名、合計56名が必要となる。

質問9

登庁可能と想定する約130名で、災害対策本部の運営や避難所の開設を滞りなく行えると考えるか。

回答: 実際の状況にならないと具体的な判断は難しいが、登庁した職員で対応すべき事柄に優先順位をつけて対応することになると考えている。避難所運営については、防災士の教本にもあるように避難者自らが行うことが望ましく、平時からの訓練が必要だと考えている。

質問10

被災者援護協力団体に登録できるようなNPO団体が市内にあるか。

回答: 登録には被災地での活動実績や内閣府の審査が必要となる。市内に該当スキルを持つ団体が存在しているかは各団体への聞き取り調査が必要と考えている。

質問11

被災者援護協力団体に登録した団体は、個人情報の取り扱いも含めてクラウド型被災者支援システムを使用できるか。

回答: 被災者支援システムを使った避難所での避難者の受入れについては、実際に一緒に行っていただけると考えている。

質問12

現在、住家被害認定調査員は何名か。また、被害調査から罹災証明発行まではどのような手順で行われるか。

回答: 住家被害認定調査員は、今年度4名が新たに研修を受講し、現在は12名となっている。申請後、内閣府の指針に従い調査員3名1組で現地調査を行い、全壊・半壊などの判定を実施した上で、判定結果をシステムへ登録することで窓口で罹災証明書が発行できる。

質問13

消防団活動支援システムについて、県内の導入実績とメリット・デメリットは何か。

回答: 県内では郡上市が昨年度に導入している。メリットとして、迅速な情報伝達、出場可能な団員の確認、活動状況の共有、事務の簡素化が挙げられる。デメリットとして、システム導入・管理費用、高齢団員へのデジタル教育、システム障害時のリスク、個人情報管理体制の整備が必要な点が挙げられる。

質問14

災害協定先団体の一部との具体的な情報交換の事例を教えてほしい。

回答: 毎年、砂防関係協力市町村災害時応援協定(宮城県蔵王町から熊本県錦町まで全国13市町村)の協定先と、災害用備品の購入計画や防災訓練の内容について情報交換を行っている。

感想

進む防災対策への手応えと、自助の重要性

市の答弁からは、能登半島地震の教訓を反映させた取り組みが着実に進んでいることが分かり、一市民として心強く思った。

特に、衛生環境の生命線となるトイレカーの導入や、避難所運営の混乱を防ぐクラウド型システムの整備など、多角的な面で「やるべき対策をしっかり進めている」という前進が感じられた。

一方で、避難所は市民自らが運営するものという前提を改めて突きつけられた気がする。耐震シェルター補助の活用や防災ウェブアプリの確認など、自分にできることから始めることが大切だと感じた。

地に足のついた質問と答弁

片野治樹議員は、消防団での30年近い現場経験に加え、「自治体DX展」や「ぼうさいこくたい」への参加を通じて得た知見を基に、事実を示しながら冷静に問いかけていく姿勢が印象的だった。

片野治樹議員の現状を的確に把握した上で着実に改善しようとする建設的なアプローチには説得力がある。同議員は第2回定例会では農業の担い手問題について「畑地の74%が担い手未定」という現実を数字で明らかにしており、分野を問わず一貫したスタンスに好感が持てる。

質問者が合理的であるがゆえに、それに応じる市の答弁もまた現実に即した実効性のある内容になっており、今後もこのような質の高い議論が続いていくことを期待したい。

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