概要
海津市の令和7年第3回定例会の一般質問において、伊藤久恵議員は「小水力発電の設置の可能性」について質問した。
伊藤久恵議員は水道管と農業用水路の双方について導入可能性を多角的に追求したが、いずれも流量不足から採算が立たないとの理由から市は一貫して慎重な姿勢を示した。
また、初期投資を抑える「場所貸しスキーム」の可能性についても質問されたが、事業者自身が「採算が合わない」と回答したという事実が示され、現時点での導入は難しいとの結論が改めて示される形となった。
伊藤議員が小水力発電にこだわる背景には、市内の山林や農地が次々と太陽光パネルに覆われていく現状への強い危機感があり、同じ再生可能エネルギーであれば自然環境への負荷が少ない小水力発電を推進してほしいという切実な思いが根底にある。
質問と回答
質問1
水道管を活用した小水力発電の設置を検討できないか。
回答: 設置は考えていない。最大落差箇所で試算しても発電出力は採算ベースの半分以下にとどまる。
質問2
令和3年3月の海津市水道ビジョンで費用対効果の面から小水力発電の導入は厳しいと判断した理由が知りたい。
回答: 最大落差箇所で試算しても発電出力は採算ベースの半分以下にとどまるため、費用対効果の面から導入は難しいと判断した。
質問3
農業用水路など自然環境を活用した小水力発電が可能な地域はあるか。
回答: 県の調査(平成23〜24年度)で市内2か所の取水工が候補地に選定されたが、発電出力が非常に少ないため事業化の検討は行っていない。
質問4
採算を確保するために必要な流量が知りたい。
回答: 採算には20kW以上の発電が必要で、毎時250m³の流量が必要となる。現在の流量(毎時50m³)では到達できない。
質問5
水道ビジョンによれば南濃地区の配水池から住宅への配水管は途中で減圧が必要なほど水圧が強いとのことだが、その配水管で発電はできないか。
回答: 配水管の流量は需要に応じて変動するため、小水力発電に必要な安定した流量が得られず設置は難しい。
質問6
発電事業者が設置から運用まで担い、市は場所を貸すだけの「場所貸しスキーム」を検討したことはあるか。
回答: 今回の質問を受けて事業者に確認した。事業者も当該箇所の流量・落差では採算が合わず設置は難しいと回答した。
質問7
県内には小水力発電の候補地が160か所あるとのことだが、実際に行政等が導入している件数が知りたい。
回答: 県営ダムによる発電が3か所(うち1か所建設中)、農業用水等を活用したものが県内19か所導入されている。
質問8
西濃地域に小水力発電設備はあるか。
回答: 揖斐川町に6か所、池田町に1か所、計7か所ある。
感想
太陽光パネルへの対抗軸という視点
伊藤久恵議員の質問の真の動機として、海津市の農地・山林が「太陽光パネル化」していく現状への危機感が語られた点は印象的だった。
第2回定例会の北村富男議員の質問で示された通り、市内における再生可能エネルギー目的の農地転用は令和6年度だけで45件と急増しており、無秩序な太陽光パネルの乱立が自然環境や景観に与える影響への懸念は、地元議員として当然の問題意識だと感じた。
私自身も太陽光パネルによる自然環境への影響を懸念しており、伊藤久恵議員の問題意識には強く共感する。
子供のときから当たり前にあった、海津市を象徴する広大な農地の風景が無機質なパネルで埋め尽くされていく光景を見るのは、言いようのない悲しみがある。
伊藤久恵議員が小水力発電を推すのは、単なる再生可能エネルギー推進論ではなく、太陽光への対抗策として景観・自然環境と両立できるエネルギー源を模索しているという点で支持できる。
理想を語るだけではなく、対案を示しながら議論を進める姿勢は、議員としての責任感が感じられた。

