「海津市議会 令和7年第3回定例会」の要約

海津市

海津市議会の令和7年第3回定例会の議事録を要約して紹介します。

なお、議事録はこちらで閲覧できます。

概要

  • 会期: 令和7年9月2日、3日、4日、19日
  • 出席者: 議員15名、市長、副市長、教育長ほか

主な議題

予算・財政

  • 一般会計補正予算
    • 1億3,818万7,000円を追加し、補正後の予算額を171億9,788万7,000円とした。
    • 主な歳出として、SSドローンプラザおよび小学校施設の屋上防水シート等の修繕費6,159万6,000円、市内中小事業者への補助金520万円、市制20周年記念シティプロモーション事業費349万1,000円(デジタル冊子の印刷製本等)、石津小学校の通学路における市道拡幅に向けた測量委託費227万9,000円、不妊治療医療費助成金90万円が計上された。
    • 主な歳入として、繰越金1,802万8,000円、出産・子育て応援交付金143万6,000円(国114万9,000円・県28万7,000円)を追加した。
  • 特別会計補正予算
    • 道の駅「クレール平田」の窓枠修繕費等104万2,000円を追加した。
    • 道の駅「月見の里 南濃物産館」の照明器具修繕費等167万7,000円を追加した。
    • 国民健康保険特別会計補正予算に、子ども・子育て支援納付金の徴収に伴うシステム改修費1,587万3,000円、県補助金等の償還金1,826万3,000円を追加した。
    • 介護保険特別会計補正予算に、国および県の負担金等の償還金3,462万3,000円を追加した。
    • 後期高齢者医療特別会計補正予算に、子ども・子育て支援納付金の徴収に伴うシステム改修費113万3,000円、後期高齢者医療広域連合からの返還金に係る繰出金2,799万6,000円を追加した。
  • 令和6年度各会計決算の認定
    • 令和6年度の一般会計、クレール平田運営特別会計、月見の里南濃運営特別会計、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計、下水道事業会計、駒野奥条入会財産区会計、羽沢財産区会計の9会計決算が認定された。
  • 水道事業会計の処分および決算認定
    • 令和6年度海津市水道事業会計の未処分利益剰余金の処分および決算が認定された。
  • 健全化判断比率および資金不足比率の報告
    • 令和6年度決算に基づく健全化判断比率および資金不足比率について、監査委員の意見を付して報告された。

条例・制度

  • 条例の改正
    • 「海津市廃棄物の処理及び清掃に関する条例」の一部が改正され、市が収集・運搬する一般廃棄物のうちし尿に係る処理手数料が廃止された。
    • 「海津市下水道条例」等の一部が改正され、能登半島地震での復旧遅延を踏まえ、非常時に他市町村の指定工事事業者でも本市の給排水設備工事を施工できるよう施工業者の範囲が拡大された。
    • 「海津市企業職員の給与の種類及び基準に関する条例」の一部が改正され、第2回定例会で議決された海津市職員の育児休業等に関する条例改正で部分休業の範囲が拡大されたことに伴い、公営企業職員の給与の減額に関する規定が見直された。

施設・まちづくり

  • 財産の貸付
    • 旧海津市立西江小学校の校舎および土地等を、株式会社もりのがっこう(東京都世田谷区)に対し、令和7年10月1日から令和17年9月30日まで年間54万円で貸し付けることが決定した。校舎3階部分は災害時に避難所として引き続き開放される。
  • 工事請負契約の締結
    • 海津小学校・今尾小学校・城山小学校の3校体育館への空調設備設置工事について、株式会社伊藤工務店と1億8,920万円で契約を締結することが決定した。

人事・委員

  • 人事
    • 任期満了となる大江雅彦副市長の再任が、賛成12票・反対2票の起立多数により同意された。
  • 諮問(人権擁護委員)
    • 令和7年12月31日に任期満了となる永田順一氏・後藤俊孝氏の再任と、服部美智代氏に代わる古川由美子氏の新任の計3件について議会の意見が求められ、いずれも適任と答申することに決定した。

定例報告

  • 専決処分の報告
    • 令和7年6月に海津町秋江地内において発生した路面陥没による車両破損事故の和解および損害賠償について報告された。

一般質問

  • 近澤美佳子
  • 寺村典久
  • 古川理沙
  • 片野治樹
  • 橋本武夫
  • 浅井まゆみ
  • 北村富男
  • 小粥努
  • 伊藤久恵
  • 松岡唯史
  • 六鹿正規

解説 旧西江小学校の貸付金額を巡る質疑

旧海津市立西江小学校の校舎および土地等を株式会社もりのがっこうに10年間貸し付ける議案について、年間貸付金額54万円の根拠をめぐる質疑が行われた。

服部寿議員が金額の根拠を質問したのに対し、財政課長は、試算によって算出した価格ではなく提案事業者が54万円で事業を運営するという提案の価格だと答弁した。従来年間300万円かかっていた維持管理費が削減されるうえ、年間54万円の収入が加わることから、財政的には実質的な改善となる旨も確認された。

避難所機能については、校舎3階部分(洪水時150人収容)を災害時に開放することが契約に明文化されており、西江体育館は引き続き市の直営施設として維持されることが答弁された。

討論はなく、異議なしで可決された。

解説 副市長再任を巡る討論

副市長の選任をめぐり、質疑および討論で異例の議論が展開された。

松岡唯史議員は反対意見を次のように述べた。

大江副市長は有能な人物であることは認めるが、副市長の厳しい指導によって職員が疲弊しモチベーションが低下しているという声を複数の職員から聞いている。厳しい決裁のために「副市長対策」が仕事となって業務が滞るという弊害も生じており、パワーハラスメントに関する情報を市民からも複数回受け取ってきた。そうした声が複数上がっていること自体が問題であり、本市の職員に適した人物に副市長を任せた方が職員のため、ひいては市のためになると考えるため、再任の同意に反対する。

市長は質疑の中で、職員が働きやすい環境をつくれていなかった点は自身の責任であると認め、特別職を対象としたハラスメント防止制度および第三者を含めた調査委員会を速やかに制度化することを約束した。

採決は起立多数(14人中12人賛成)で同意が決定された。

再任の告知を受けた大江副市長は、職員にプレッシャーがかかっていたという指摘を真摯に受け止め、自身の姿勢を改めるとともに全職員が心を一つにして政策に取り組める環境づくりに一層努めると述べた。

感想

令和7年第3回定例会を振り返ると、市の判断や方針の根拠が問われる場面が目立った。

財政調整基金の残高が33億円を超えていることが明らかになり、目的や目標額を定めることなく公金をため込み続けることへの疑問が残った。

令和6年度末の財政調整基金残高は33億円を超えており、決算特別委員会では「未来投資のために活用したい」という答弁があった。しかし、財政調整基金は歳入不足の補填や災害復旧など緊急時の財源であり、未来投資への活用は本来の目的から逸脱している。また、目的なく積み続けることは、人口減少対策や老朽化施設の改修など、今まさに手を打つべき課題への投資機会を逃すことでもある。

未来投資に充てられる振興事業基金(約16億円)が別に存在する以上、財政調整基金の積立根拠と使途方針を市民に対して明確に示すべきである。

また、旧西江小学校の年間貸付金額54万円が妥当かどうかは判断しづらい。

市は「300万円の維持管理費が削減される」ことを財政メリットとして説明したが、その300万円相当のメンテナンスを事業者が実際に行う保証が契約上どのように担保されているかは、議会の質疑では明らかにならなかった。その前提が保証されない以上は、年間54万円(月間4.5万円)はあまりに安すぎるのではないかと感じる。

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