海津市議会 令和7年第2回定例会 一般質問 六鹿正規議員

海津市

令和7年第2回定例会の一般質問において、六鹿正規議員は「物価高騰対策」と「基金運用」の2点を軸に粘り強く質問した。

特に基金運用については、基金運用を検討する委員会に専門家が不在であるという驚きの実態と、今後の運用体制の見直しを示唆する市の姿勢が示される形となった。

今回の質疑により公金運用のガバナンスの課題が明確になった。六鹿議員が指摘した「専門家の知見」が今後どのように反映され、公金が安全かつ効果的に運用されるようになるのか、引き続き注視が必要だ。

質問と回答

質問1

物価高騰対策として、市独自の商品券を発行する考えはあるか。

回答: 考えはある。今定例会の補正予算案に、プレミアム率20%、発行総額1億8,000万円の「デジタル版プレミアム付商品券」の発行を計上している。これにより、紙とデジタルの両方を組み合わせて、市民生活を幅広く支援していく。

質問2

商品券は不公平が生じるため、市民全員への平等な現金給付(1人1万円)を行う考えはあるか。

回答: 現時点では実施を明言しないが、来年度当初予算の中で選択肢の一つとして検討する。

※再質問が繰り返されて、同様の質問が計4回行われた。

質問3

海津市の基金残高、運用方法、債権の種類、債権の現在高および評価額が知りたい。

回答: 基金残高は約92.7億円である。運用は定期預金(約76.8億円)と債券(約15.9億円)を組み合わせている。債券の内訳は国債4.9億円、地方公共団体金融機構債1億円、財投機関債1億円、事業債9億円である。評価額は約13.8億円だが、満期保有が前提のため元本割れのリスクはない。

質問4

公金管理運用委員会のメンバー(副市長、総務企画部長、健康福祉部長、都市建設部長、会計管理者、財政課長、会計課長)に資産運用の知識がある者はいるか。

回答: 専門家はいない。しかし、事前に外部の複数専門機関から情報提供やアドバイスを受けた上で、委員会を開催している。

質問5

公金管理運用委員会のメンバーに資産運用の専門家を入れなかったのはなぜか。

回答: 今後は資産運用の専門家の意見を踏まえて運営する体制を検討していく。

質問6

1億円で購入した債権は、20年後の満期時にいくらになると見込んでいるか。

回答: 元本保証により1億円は確保される。運用益を含めれば1億円を上回る見込みである。

質問7

原発事故の影響下にある電力会社の社債を複数購入しているが、誰の勧めで購入したのか。

回答: 市の歳入確保対策の一環として購入した。東京パワーグリッドについては、東京電力ホールディングスの100%連結会社であること、国が1/2を出資する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が同社の株を54.74%保有していること、一般担保付債券であることから安定した収益が得られることを考慮して購入した。

質問8

公金管理運用委員会のメンバーに市長が入っていないのはなぜか。

回答: 市長以外の職員で議論した結果を踏まえて、市長が決断するという仕組みであるため。

質問9

公金管理運用委員会のメンバーに資産運用の専門家を入れることを検討しなかったか。

回答: 今後は資産運用の専門家の意見を踏まえて運営する体制を検討していく。

感想

行政に求められる公平と効率のバランス

現金給付に関する質疑は感情的な議論に終始しており、現金給付の効果やコストについての理性的な議論が欠けていたのは残念に思った。

例えば、現金給付には振込手数料、郵送代、人件費などの事務コストが公金から支払われるため、1万円を給付するために1万円以上のコストがかかる。
また、現金は貯蓄や市外での決済に流れやすく、市内の商店を支える「地域経済の循環」という面では限定的な効果に留まる懸念もある。

行政には、限られた予算を最大限に活用して市民の生活を支援する責任があるため、非効率な施策を安易に選択することは許されない。

このような冷静な議論がないまま質疑が進む状況に不安を感じた。

行政が抱える公金運用のジレンマ

資産運用の専門性を問う質疑において、委員会のメンバーに専門家がいない理由を問われた市長が「(議員から)非常にいいご提案をいただいたと思っている」と答えたことには、呆れるほかなかった。

しかし、冷静に考えると、これは地方自治体が抱える公金運用の構造的な課題を示していると思う。

六鹿議員が指摘した通り、「元本保証だから損失はない」という考えは、インフレによる「通貨価値の下落」を度外視したものである。
20年後に額面の1億円が戻ってきたとしても、物価上昇でその価値が目減りしていれば、それは実質的な損失を意味するからだ。

これは経済の基本だが、自治体がこの認識を欠いているというよりは、「元本割れ」という政治的責任を回避せざるを得ない限界があるのだろう。

投資においてリスクとリターンは表裏一体である。
リスクを徹底的に排除すればインフレに負け、実質価値を維持しようとGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のようにリスクを取れば損失時に激しい追及を受ける。

結局のところ、現在の公金運用は「インフレによる目減りを受け入れるか」と「批判を覚悟でリスクを取るか」の究極の二択を迫られているのではないだろうか。

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