海津市議会 令和7年 第2回定例会 一般質問 片野治樹議員

海津市

令和7年第2回定例会の一般質問において、片野治樹議員は、農業の未来を左右する「地域農業経営基盤強化促進計画」(以下、地域計画)の策定状況について質問した。

質問を通して、海津市内の畑地の74%(約276ha)がいまだ担い手未定の「検討中」であるという厳しい現実が明らかになった。

片野議員は、農業者の高齢化に加えて、相続した農地の管理に苦慮し、精神的にも追い詰められている「耕作難民」の切実な現状を指摘した。

この農業従事者の不足は、海津市だけでなく国家レベルの喫緊の課題である。食料自給率の維持や国土の保全に関わるこの問題は、決して農家だけの問題ではない。

私たち市民一人ひとりが「地域の食と景観をどう守るか」という切実な問いに対し、当事者として関心を持ち、共に向き合う必要がある。

質問と回答

質問1

地域計画は、どのような手順で策定したか。

回答: 令和5年の法改正により、農地1筆ごとに将来の担い手を指定した目標地図の作成が義務づけられている。策定には、農地所有者と農業法人へ意向調査を行い、その結果をもとに市内10地区で農業関係者(担い手、農業委員、JAなど)と協議して決めた。

質問2

今後、地域計画をどのように活用していくか。

回答: 地域計画に基づき、農地の集約を推進し、効率的な農地利用や農業経営の安定化につなげる。

質問3

今後、地域計画をどのように更新していくか。

回答: 検討中の農地について、所有者や関係者との話し合いを通じて担い手を決定し、目標地図に反映していく。

質問4

地域計画の策定を通じて見えてきた課題は何か。

回答: 畑地における担い手不足が喫緊の課題である。

質問5

地域計画において、検討中の農地の面積はどのくらいか。

回答: 検討中の農地は合計約419ha(全体の13%)である。内訳は水田が約143ha(4.8%)、畑地は約276ha(74%)である。

質問6

地域計画の策定について、今後、地域の話し合いをどのように進めていくか。

回答: 今までの10地区単位ではなく、今後は自治会単位で開催し、地域住民と関係者が検討中の農地を誰が耕作していくかを継続的に話し合う場を提供したい。加えて、JA等と協力して新規就農者の確保に向けた取り組みを検討したい。

感想

農業の未来を考える土壌は整った

「海津市の畑地の74%が担い手未定」という数字に衝撃を受けた。この数字は、海津市の農業が深刻な状況にあることを如実に示している。

令和5年の法改正で「地域計画」の策定が義務づけられたことを初めて知り、当初は政府の対応の遅さに不満を感じたが、冷静に考えると、その背景には国が抱えるジレンマがあったことが想像できる。

農地の集約には、憲法で保障された「財産権」という高い壁がある。

私有地である以上、国が強引に利用方法を指定することは難しく、個人の権利という「聖域」に踏み込むことには慎重にならざるを得なかったのではないか。

所有者の高齢化が進み、自力での管理が限界に達した今、ようやく地域全体で農地の未来を話し合える土壌が整い、地域計画を起点として具体的な施策が講じられる段階に変わった。

日本の農業が「個人の問題」から「地域の課題」に転換したと考えると、先行きは決して暗いものではないと私は感じる。

しかし、それは「誰かが解決してくれる」という楽観を許すものではない。可視化された課題に対し、市民(国民)がどれだけ真剣に関心を持ち、対話を重ねていけるか。ようやく整ったこの土壌をどう育てるかが、今まさに問われているのだと思う。

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