海津市議会 令和7年 第2回定例会 一般質問 松岡唯史議員

海津市

令和7年第2回定例会の一般質問において、松岡唯史議員は「公平な物価高対策」および「老朽化した体育施設の整備」について質問した。

一連の質疑を通して浮き彫りになったのは、市民の要望に根ざした直接的な支援や施設の更新を求める声と、市政が避けて通ることのできない「財政的な制約」との間にある厳しい現実の壁である。

市民の「理想」に対して海津市が突きつけられている「選択と集中」の難しさが鮮明となった質疑だった。

質問と回答

質問1

物価高対策として、ほとんど全ての市民が恩恵を受けられる水道の基本料金免除やごみ袋の全戸配付を実施する考えはあるか。

回答: 実施しない。物価高対策としては、市民生活に最も大きな影響を及ぼす食料品や燃料の購入に利用でき、幅広い世代を支援できる「商品券の発行」が最も有効であると判断した。

質問2

子育て世帯への物価高対策として、市独自で学校給食費の無償化を早急に実施する考えはあるか。

回答: 実施しない。給食費の無償化については、国の動向を注視し、国の方針に従って対応していく。一方で、生活に困窮する世帯へのきめ細やかな支援は不可欠だと考えている。

質問3

水道の基本料金免除やごみ袋の全戸配付を実施しない理由は何か。

回答: 水道の基本料金免除やごみ袋の全戸配付を選択肢から排除しているわけではない。今後も最適な物価高対策を検討していく。

質問4

ごみ袋の全戸配付にかかる費用が知りたい。

回答: 1世帯につき、ごみ袋大(10枚入り)5袋を配布する想定で約4,200万円の費用を見込んでいる。

質問5

給食費の無償化は、国の動向を待たず補正予算を組んででも今年度中に実施すべきではないか。

回答: 給食費の無償化は取り組みたいことではあるが、国の開始時期などが明確でない現時点において、市の一般財源を使って実施することを明言できない。

質問6

過去の一般質問における答弁の中で、グラウンド等に関する将来構想については長期的な施設更新計画を策定するとあったが、計画の策定状況が知りたい。

回答: グラウンドの更新計画については、閉校した小学校の施設が新たに市の体育施設に加わったことにより、集約化や更新時期について改めて検討する必要が生じており、計画は策定できていない。令和8年度に改定予定の計画の中で定めていく。

質問7

海津グラウンド、平田グラウンド、南濃グラウンドの各グラウンドの維持管理はどのように行われているか。また、年間の維持管理費はいくらか。

回答: 市が管理する8つのグラウンドの維持管理費は年間2,500万円程度である。

質問8

老朽化が著しく、施設としての機能を十分に果たせていない海津グラウンドに代わり、新たな野球場を建設する考えはあるか。

回答: 新しいグラウンドの建設については多額の費用が見込まれるため、現時点では考えていない。

質問9

他自治体に劣らない体育施設やグラウンドの建設を、計画に入れる考えはあるか。

回答: 施設の老朽化やニーズ、配置状況を総合的に判断し、市民の意見を反映しながら、集約化による廃止も含めて、次計画の改定に併せて検討していく。

質問10

推進計画にある「既存の体育施設の整備・充実」と、答弁にある「集約化」は矛盾しないか。

回答: スポーツ環境を整えることは大きな目標であるが、建設費用や維持費用を考慮した上で計画を策定していく。

質問11

海津グラウンドと同規模の施設の建設費用が知りたい。

回答: 神戸町に「神戸町のごうどローズスタジアム」の建設費用を訊いたところ、用地の取得費を含めて約18億2,000万円とのことだった。

質問12

老朽化したグラウンドの建設にクラウドファンディングを活用する考えはあるか。

回答: 今後、クラウドファンディングを取り入れることも検討したい。

感想

理想と現実のギャップ

今回の質疑では、議員の語る「理想」と、市政が抱える「財政」という現実の間に、あまりにも高い壁が存在することが明確になった。

特に象徴的だったのは、野球場の建設に「約18億円」という巨額の費用を要することが示された場面だ。この莫大な数字に対し、解決策として提案された「クラウドファンディングで数千万円を集める」という手法は、あまりに乖離が大きく、現実離れした議論のように感じざるを得なかった。

例えば、ごみ袋の全戸配布に約4,200万円の費用を見込むのであれば、配布そのものを止めて「期間限定でごみ袋を廃止する」といった逆転の発想はできないだろうか。そうすれば配布に伴う事務コストを抑制でき、物価高対策としての実効性は高まるはずだ。市民が求めているのは、こうした地に足の着いた、現実に即した提案ではないか。

理想の影に隠れてしまった「財政」という現実の壁をどう直視し、どう乗り越えていくのか。今回の一般質問は、市民に対しても、市政のあり方を問う重い課題を投げかけている。

誠実な対話こそが、市政の信頼を築く

市の答弁についても、本音を伏せた「建前」に終始している印象が拭えない。真っ向からの否定を避けるあまり、論点が噛み合わないままその場を収めようとするやり取りは、どこか形式的なものに見えてしまう。

「できないこと」を「検討」という言葉で煙に巻く姿勢は、結果として市民による行政への不信感や、政治離れを加速させているのではないかと感じる。

「何ができて、何ができないのか」。その厳しい現実を包み隠さず市民と共有し、苦渋の決断も含めて共に納得のいく選択肢を探っていく。それこそが、本来あるべき誠実な議論の姿ではないか。

一歩踏み込んだ「本音の議論」が行われることを期待したい。

タイトルとURLをコピーしました